胡蘭成のこと

最近、中国で胡蘭成の本がベストセラーになっていると言う。胡蘭成は日中戦争の時期に汪兆銘政権下で新聞『中華日報』の編集長を勤めたいわゆる「漢奸」であって、実は敗戦後、日本に亡命して、日本でなくなっている。
(宣伝部次長や法制局長をしたという話もある→こちらhttp://news.xinhuanet.com/comments/2004-01/13/content_1272959.htm
その彼がどうして今頃になってベストセラーになるのか、と不思議に思うが、おそらく張愛玲との関係らしい。日本占領下の上海において彗星のように現れた女流作家張愛玲と胡蘭成は恋人の関係にあったらしい(内々で結婚もしたらしい)。
台湾の作家三毛が、『滾々紅塵』という小説で、二人の悲しい恋愛について書いていて、どうも映画にもなったようである。
結局、胡蘭成は張愛玲を捨てるのだが、彼女は淡々とそれを受け入れ、その後、彼との関係について一切語っていないと言われる。
それに対して胡蘭成の方は、何度となく彼女のことに触れて書いているらしい。おそらくベストセラーになっている『今生今世』も自伝的なものらしく、その中に張愛玲とのことが出てくるようである。

 『今生今世』(中国社会科学出版社) http://zousirs.51.net/xiandaimr/gushi/jinshengjinshi.htm

 胡蘭成と張愛玲のロマンスについて http://zousirs.51.net/xiandaimr/gushi/zhangailingyuhumancheng.htm


また、金文京・浜田麻矢「日本亡命後の胡蘭成――保田与重郎との関係を中心に」 (「未名」二〇〇一年三月)という論文もあります。保田与重郎との思想的・人間的な関係があったようです。